2012年5月27日 (日)

親の背中

毎日、ワイドショーをにぎわしている話題がある。
ある芸人の母親に対する生活保護費支給についてだ。
”不正なのか、そうではないのか”
争点だ。

当事者は、
「役所と相談した結果、支給が認められていたが、認識が甘かった」
とコメントしていた。
認められているのであれば、法律上は問題ないのかもしれない。
しかし、テレビに映る彼は
高級マンションに住み
番組の企画で、1年分の生活保護費に近い額の高級腕時計を買っていた。
(買わされていた)
そんな姿を見た視聴者は
「こんな高額なものが買えるのだったら、母親の援助ができないはずはない」と
単純に思う。

プライベートもネタにしなければならない芸人さんたちの心情もわかる。
視聴者の目にさらされているからこそ取り上げられた内容で、気の毒だとも思う。
私たちも、情報に踊らされたり、上辺だけを見て判断することは避けたい。
けれども、仕方がない部分を考慮しても
不快なイメージが強く残るのは否めない。

問題がクローズアップされてからの彼の記者会見や番組での姿は、
謙虚で自重しているように見える。
果たして、目に見える姿が
”真実なのか、そうではないのか”
本人にしかわからない。
このように考えるのは、私が捻くれているからだろう。

今回のことで、特に心配なのは
彼の小学生の息子さんへの影響だ。
人の言葉に尾ひれがつき
何も関係のない息子さんに突き刺さる。
親の甘い考えから起こった騒動が
子どもに辛い思いをさせる可能性を、なぜ考えなかったのだろうか。

子どもに、自分のしたことを胸を張って
”正しいと言えるのか、そうではないのか”
振り返ってほしい。

間違いやミスは、誰でもおこす。
しかし、その後の対応が
人の真価を決める。

子どもは親の背中を見て育つ。
息子さんのためにも
胸を張って「正しい」と言える対応を
ぜひともしていただきたい。

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2012年5月13日 (日)

さじ加減

RPG(ロールプレイング)ゲームを進めるなかで
アイテムが必要な場合がある。
武器や防具を作るための素材として
状態異常や病気をを治す薬として
ゲームを進めるための重要なアイテムとして…
これらは、宝箱や茂みを探ったり
モンスターを倒すと手に入る。

入り組んだ洞窟のわかりにくい場所にある宝箱のアイテムは
時間はかかるが、必ず手に入る。
いざとなればダンジョンマップを調べ
見つければいいからだ。
しかし、モンスターを倒して手に入れるアイテムは
そうはいかない。
特にモンスターの落とす確率の低い「レアアイテム」
厄介だ。
ゲームを進めるために重要なものは手に入れないわけにはいかないため
何度も何度もモンスターを倒し挑むのだが
なかなか、落としてくれない。
インターネットのゲームに関する掲示板などで
「どうしたら手に入るのか」
「1週間挑戦しているが手に入らない」
といった相談がよく書き込まれている。


しかし、おもしろいのは
アイテムがあまりにも簡単に手に入っても
逆にあまりにも手に入らなくても
「このゲームつまらない」
どちらにしても同じ感想になってしまうことだ。
簡単ではなく、かといって難しすぎもなく
丁度いい『さじ加減』でアイテムが手に入ることが求められる。
苦労し諦めかけたときにモンスターがお目当てのアイテムを落としたりすると
「よっしゃー」
モチベーションが上がるのだ。

微妙なさじ加減で料理の味は決まる。
また、相手とのやり取りにも繊細なさじ加減が重要だ。
私たちは様々な場面で
「いい加減」の「さじ加減」を探している。

というわけで
最近始めた少し前に流行ったゲームだが
アイテムが手に入らない。
挑み続けて数日が経った。
アイテムを落とすと言われているモンスターをどれだけ倒しただろう。
そのモンスターにも気の毒だ。
静かに過ごしているのに勝手にきりかかっていく私は
なんと理不尽で、勝手な奴だ。
関係のないアイテムばかりが増え続けている。
そろそろ出てくれないと
モチベーションが下がりそうだ。

今日こそは、期待したい。

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2012年4月29日 (日)

自己管理男子のはしり

次から次へと、新しい言葉が作られる。
中でも、○○男子は流行りなのだろう。
○○女子より、多く耳にするのは気のせいか。
草食系・肉食系・ロールキャベツ男子
メガネ男子、定位置男子…
そして今度は『自己管理男子』だ。

自己管理男子とは
これまでの慣習では、家庭の女性(母親)が主におこなうとされていた
料理、掃除、整理整頓、洗濯などの家事全般を
こだわりをもって、きちんと遂行している男子のことだ。(注:筆者が勝手に定義づけしました)
そして、それらを楽しんで、苦なくおこなっているという。

「シェフは男性が多い」
体調の変化を受けやすい女性に比べ
一定の体調を保ちやすい男性は味覚が安定しているからだと
料理を仕事としている知人から聞いたことがある。
店で出す料理はいつも味が同じである必要があるからだ。
反面、女性は気温や体調変化を感じとり丁度いい塩梅を決める。
これが”家庭の味=おふくろの味”なのだろう。

なるほど。
そういえば、周りにもこのような男子が増えている。
いや、待てよ。
定義どおりの人が身近にいたじゃないか。

齢80歳近い父の若い時代は
「男子厨房に入るべからず」が家庭では当たり前だった。
しかし、私がもの心ついた頃から
父は台所で母と一緒に料理をしていた。
現在も変わらず、てんぷら、牛丼などの煮込み料理は絶品。
また、作るだけでなく、買い物から、仕込み、後片付けまで
父が料理をすると、出来上がったときには全てが片付いている状態だ。
他、掃除、洗濯など家事全般がそつなくこなせる。
特に片付けが苦手な母に比べ、整理整頓はお手のものだ。

一般的なホームドラマは、母親が長期で出かけると
帰ってきたときには部屋がとっちらかり
台所には食べたままの食器が置いてあるのが定番だが
我が家では逆だ。
母が出かけている方が、部屋が片付いている。

たまにやってくる姪っ子たちが
「じいじの焼きそばが食べたい」なんて言おうものなら
にんまりしながら、買い物にいそいそと出かけていく。
「朝は、じいじの海苔巻」なんて言おうものなら
食べやすいように工夫された海苔巻が並ぶ。
彼女たちの就寝時間に合わせ布団を敷き
朝起きてそのままの状態の布団を直す。
孫たちのお抱えシェフどころか、執事のような働きっぷりだ。

「おとうさんって、自己管理男子のはしりだね
言葉を説明しながら父に伝えた。
すると「料理は好きだ。でも、ちょと違う」
「えっ、どうして」
「嫌じゃないけれど、楽しんで始めたのではない。俺の場合は、必要に迫られて、だ」
部屋の隅をチラッと見ながら父が言った。
母の荷物が乱雑に山になっていた。
「そりゃそうだ」
ほほえましい笑顔の父がいた。

『結構、楽しんでやっているじゃん。
やっぱり、自己管理男子のはしりだよ』
心の中にしまっておこう。

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2012年4月15日 (日)

匂い?いや、臭い

今年も慌ただしい研修の季節が訪れた。
ここ数週間で自分の布団に入ったのは数日だっただろうか。
それでもやっとひと山越えた、今日この頃。

移動の新幹線では、いつの間にか眠っていることが多い。
ホテルでも熟睡はしているつもりだが
自宅とは違い、知らぬ間に緊張しているのだろうか。
乗り物の座席に着いて本を広げると
すぐに睡魔に襲われる。
先日も、そうだった。

新幹線の三人がけの窓側に座った。
東京駅を出発した時は、通路側に男性が座っているだけで
中央の席は空いていた。
その日は5日ぶりの帰宅だった。
かなり疲れていたのだろう。
私は出発してすぐに眠ってしまった。
品川駅に着いたことも、そこで中央の席に人が座ったことも
記憶がない。

私は、鼻が利く方である。
鼻炎でもなければ花粉症でもない。
家族に言わせると「鈍感」なのだが
一年中鼻が通っているということは
『におい』に対して敏感だ。

隣から強烈なにおいが漂ってきた。
頭は、ぼやっとしながら「臭い(くさい)」とはっきり感じた。
目より先に鼻が起きてしまった。
汗とビールとオーデコロンとポマードが混ざった
嫌な臭いだ。
これでは、眠ってはいられない。
視界がだんだんはっきりしてきた。
完全に目が覚め隣を見ると
中年男性が座っていた。
「臭い」
改めて感じた。

男性はビールを飲んでいた。
おつまみのスルメをかじっていた。
ポマードをつけた髪の毛は、きっちり七三で分けられていた。
上着を脱ぎ、少し汗ばんでいるように見えた。
体からは、蒸せるようなコロンのにおいがした。
靴を脱いでいた。
足元からも、すこし酸っぱいにおいがした。
とにかく、体中から様々な「におい」が漂っていた。

見ず知らずの、人柄もわからない方に大変失礼だとは思うが
本当に臭(くさ)いのだ。
もちろん窓を開けられるわけでもなく
通路で人が立っているほど混んでいる状態で
他の席へ移ることもできない私は、呼吸困難に陥った。
仕方がないのでタオルを口に当て
ゆっくり呼吸を繰り返した。

人によって『におい』のとらえ方は違う。
自分では快適でも、相手は不快に感じることもある。
きっと、この男性もそうなのだろう。
オーデコロンもポマードも
彼にとっては、よい「匂い」なのだ。

匂い(におい)?いや、臭い(におい)…だろう」
口元にタオルをあてながら
この先どこまでこの状態が続くのだろうと
不安いっぱいの私だった。

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2012年4月 2日 (月)

四人組の女の子

東横線で元町・中華街駅へ向かった。
始発の渋谷から終点の元町・中華街まで
それぞれの駅の雰囲気が違う。
そして、駅を行きかう人々の流れを見るのも楽しい。

学生が春休みに入った先日
横浜から、パタパタと四人組の女の子が乗ってきた。
大きな声で楽しそうに話している。
イントネーションで地元出身ではないことがわかる。
これから向かう元町でのショッピングの話題で
盛り上がっていた。

次の駅で私の座っている向かい側が空き、4人が座った。
相変わらず弾んだ会話だ。
マナーに反しているといえば反しているのだが
それを帳消しにするくらいの彼女たちの笑顔。
彼女たちの素朴さと若さで、不思議と嫌な気持ちはしなかった。

次の駅で、彼女たちの向かい側
私の横の方に座っていたであろう、男性が降りた。
座席に、雑誌とゴミが残っていたらしい。(私からは見えない)
四人組のひとりの子が気が付き
「あれ、忘れ物じゃね」
言葉づかいは”う~ん”だ。
「っていうか、わざとじゃね」
「追いかける?」
「マナーなってない。考えられない」
特に元気そうな二人が話している。
「最近の大人のマナーなってなくない?」
”なくない”って
「そうそう、家の前の駐車場にオムツ捨てていく母親がいる」
「母親失格じゃね。子ども育てる資格ない」
言葉づかい諸々、改善点は多いが言っていることは間違っていない。
私は、『その通りだ』と頷きながら彼女たちに目線を向けた。
一人の子と、目があった。
恥ずかしそうに下を向いて、顔を赤らめている

それまで、話をせず笑顔で聞いていた一人の子が言った
「そうだよね。
 でも、ここは電車の中だから、まず大きな声で話すのやめようね」
彼女たちに注目した。
「はい」他の三人が返事をした。
なぜだかとてもうれしくなっった。

彼女たちは
終点の元町・中華街で降りた。
コロコロと鈴の鳴るような声で
帰りのお母さんへのお土産の話をしていた。

心地の良い
風が吹いていた。

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2012年3月26日 (月)

春一番の悪戯

『春一番』
2月から3月の半ば、その年初めて吹く南よりの強い風をいう。
今年は、春一番の訪れが例年に比べ遅く
また、遅いどころか、結局吹かなかった地域も多いようだ。
先日、私の住む街では、やっと春一番のような風が吹いた。

今月は土日も仕事や用事が入っていた。
土日は平日にはできない、大物の洗濯や掃除をし
文章を書くことで(ブログ更新も)ストレスを解消するのが常だが
できないことで、少しイライラが貯まっていた。
先日は、そのストレスを解消するがごとく
ここぞとばかりに、様々なものを洗濯機にほおりこんだ。
ベランダの物干しざおに、衣類ではない
キッチンマット、膝かけ、息子のバイク用カッパ等が
風に吹かれているのを見るだけで、幸せな気持ちになる。

掃除機をかけながらベランダを見た。
「今日はやけに風が強い」
思ったのもつかの間
ハンガーにかけてあった息子のカッパの上着が
強風とともに私の視界から消えた。
「まずい。飛んだ」
すぐさまベランダから下を覗き込む。
そのまま下へ落ちてくれれば洗いなおせばいいだけなのだが
なんと、二階のベランダに引っ掛かっている。
運が悪いことに、空き部屋だ。

管理会社の手を煩わせるのも悪いので
室内用の物干竿を持って、下に降りた。
道路から竿を目いっぱい延ばすが、あと少し手が届かない。
『私より手が長いうってつけの奴がいるじゃないか』
休日で昼寝(朝方寝たので熟睡)している息子を無理やり起こす。
寝ぼけ眼の息子が下からつつくと
間逆の方向の、ベランダの中へ落ちてしまった。
「あ~あ。なんてことをしてくれたの」
自分の失敗を棚に上げ息子の失敗を責める。
また自宅ベランダへ戻り、ベランダに使っている長い物干竿で試みる。
ベランダに這いつくばりながら、隙間に竿を通し息子が手を延ばす。
「あとちょっと、がんばれ。ああ、もう少し。惜しい…」
「うるさいなぁ。気が散るから黙っててくれない」
何度か繰り返すうちに竿がカッパに掛かり
ベランダの際に引っ張り出すことに成功した。
この位置なら、私でも届きそうだ。
「ありがとう。助かった」
「もういいの。届く?」
「うん、大丈夫。お騒がせしました」
長い竿を担いで階下へ急いだ。
そしてついに、カッパの奪還に成功した。

やれやれ。
春一番の悪戯
右往左往の休日だった。

「っていうか、ただの不注意じゃん」
息子の声は、聞こえない聞こえない。

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2012年3月11日 (日)

一年

どうか夢であってくれと、現実逃避したい日から
一年が経った

ありがたいことに
いつも通りの平凡な日をおくっている私たちも
決して忘れてはならない
今も、そしてこれからも
過酷な運命に立ち向かわなくてはならない方が
たくさんいらっしゃることを

私はこんなことしていていいのだろうか
これから何ができるのだろうか

切ない

被災者のひとりの方が言った
「生き残ったことが辛い」

「がんばろう」なんて
軽々しく言えない

胸が痛い

たった一年
もう一年

「できる限り早急に対応します」
できる限り早急って、どれくらい?
都合のいい、言い方だ

口先だけの言葉はいらない
見える足跡を残したい

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2012年3月 5日 (月)

マイクだ。

家から車で1時間の距離にA会場がある。
公共機関での講義に利用することが多く
受講者は最低でも50人は下らない。
最高で、90名を超えたこともある。
部屋は会議室となっているが、構造は小ホールに近い。
受講席から一段高い壇上に、演台が設置されている。
私は、この演台が苦手だ。
講義中に演台としてではく、資料置きに使っている。
開始前に、端までえっちらおっちら引きずって壁に押し付ける。
そして檀下にあるホワイトボードを、これまた引きずり上げ
講義をおこなう。

人数と部屋の構造上
A会場では、マイクは必需品だ。
会場のアンプは調整済みのため
事務室でワイヤレスマイクを借り、スイッチを入れれば準備万端だ。

先日も、いつもと同じように講義をおこなった。
その日の受講生は、60人ほどだった。
講義終了後は、忘れ物がないかをチェックし
大まかに椅子の乱れを直し
エアコン、アンプ、電気を消し、入口の鍵を閉める。
事務室に鍵と使用許可書を返却。
あいさつをして、会場を後にした。

帰りにスーパーとドラッグストアへ寄った。
講義用の資料を入れる黒い手提げ袋と
複数の買い物袋を提げ、家へ戻った。
普段通りの1日だった。

次の日の朝、その日は午後から東京で打ち合わせだった。
午前中に予定がないため、余裕をもって身支度ができた。
昨日からそのままの資料を入れた袋を整理しようと手に取った。
この黒い袋はA4がちょうど入る、丈夫なサテンの手提げ型だ。
マチも広すぎず、手提げも長すぎず、派手でなく、かといって安っぽくなく
資料を入れカバンと併用するのにぴったりで、とても重宝している。

袋を手にとると、普段とは違うふくらみが気になった。
中を確認しながら手を入れると
結構な大きさの、固い物体がある。
昨日の買い物品を入れ忘れているのだろうと、引っ張り出す。
マイクだ。
荷物が多かったのでとりあえず袋に入れ、事務室で返却しようと思っていたが
忘れて、そのまま持ってきてしまったことに気がついた。
まして、気がついたのが昨日ならともかく
今日にだ。
なんと、申し訳ないことだろう。

まずは、電話だ。
精一杯謝罪し、本日はどうしても返却に伺えない旨を説明した。
明日、早朝に伺うことでどうか、お願いした。
事務所の方は、快く承諾してくださった。
ありがたい。
お礼を言って電話をきった。

次の日の早朝、会場に向かった。
事務室に入ると、顔見知りの方が笑っていた。
自分のそそっかしさと、ご迷惑をかけたことを心から詫びた。
「気にしないでください。こちらも気がつきませんで申し訳ありません。
それよりもわざわざ来てくださってありがとうございます」
この言葉に救われた。

ああ、またやってしまった。

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2012年2月27日 (月)

無意識の行動

繰り返し行ううちに
そうするのが決まりになったり、当たり前になることを
『習慣』という。

私は、仕事から家へ戻ると、日々同じような動きを繰り返している。

玄関のかぎを開け中に入り、玄関の電気をつける
振り返り鍵を閉め、靴を片づける
居間の電気をつけ、玄関の電気を消す
買い物袋を流し台に置く
コートを脱ぎ、まず手を洗う
パソコンのスイッチを入れる
買ったものをそれぞれの場所に仕分ける
スーツを脱ぎハンガーにかけ、部屋着に着替える
脱いだものを仕分け(ネットに入れるなど)洗濯機に入れる
ホットカーペットのスイッチをオンにする
パソコンが起動しているので、メールをチェックする
手帳を確認しながら、必要事項をメモする
急ぎの用事は返信し、余裕のあるものは改めて目を通すことにする
テレビのスイッチを入れる
温まったホットカーペットに座りながら
昼間に母や息子が取りこんでくれた洗濯物を片づける
録画していた朝のテレビ小説を観ながら、しばし寛ぐ
人心地ついたら、食事の支度にかかる
ビールをおいしく飲むため、コップを冷凍庫へ入れる
テレビ前のちゃぶ台に座イスをセットする
ひとり分の食事を運ぶ(息子は帰りが遅い)
カーペットは温まっているがさらに膝かけも用意する
全てが整って準備万端になってから
冷凍庫からキンキンに冷えたコップとビールを手に
座イスに腰を下ろす
まずはビールを一口
『ああ、しあわせ』

以上が、ほぼ毎日の行動だ。
しかし、この行動ができないこともある。

先日、よほど疲れていたのだろう。
途中まではいつもの流れで動いていたのだが
いつしか記憶が途切れた。
気がつくと、ホットカーペットの上で眠っていた。
膝かけを体にかけ
洗濯したタオルに埋もれ目を覚ました。
一応着替えはしていたが、スーツが床に転がっていた。
買い物袋は置きっぱなし
パソコンは起動した画面のままだった。
『これは、いかん』
寝ぼけ眼で、片付け続行。
一通り済んだので、気を取り直し食事の支度を始めた。
いつものように、コップを冷やそうと冷凍庫を開けた。
私は目を疑った。
冷えたコップが、そこにあった。

無意識の行動
その人の本質や大切なものを表していると
心理学で学んだ。

どのタイミングでコップを冷凍庫に入れたのか
まったく覚えがない。
しかし、無意識に入れたのは紛れもない事実だ。
『私にとって大切なことって…』
冷えたコップを手に取りながら
笑いが止まらなかった。





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2012年2月21日 (火)

異常な寒さの店内

移動の空き時間によく訪れるファーストフード店
先日も、いつものように立ち寄った。

1時間強、時間を潰したい。
読みかけの本を持ち店内へ入る。
お客様は誰もいない。
もしお客様でいっぱいだったら、本を読んで席を占領するのはとがめるが
この状況ならば、堂々と座っていられると
少しほっとした。
そのままカウンターに向かいセットメニューを頼んだ。

窓側の席に腰を下ろす。
『なんだか寒い』
店に入って直後は気付かなかったが
いつもより室温が低い。
『節電対策だろう。がまんしなくちゃ』
コーヒーを飲み、ハンバーガーにかじりつこうとしたとき
手が震えた。
『風邪をひいたのだろうか』
しかし、体調が悪い際の体の奥から湧き上がる震えとは
ちょと違う。
息を吐き出すと、白い。
おや?

近くにいたクルー(ここではスタッフをそう呼ぶ)の方に
「少し寒くないですか?」
おそるおそる聞いてみた。
「申し訳ございませんお客様。只今エアコンが故障しております」
納得。
『どうりで寒いわけだ。はやく食べて店を出よう』
ハンバーガーをかじりながら手が震える。
異常な寒さの店内にいたたまれない。
その後入ってきたお客様も同じ状態だが、ダウンを着たまま食べている。
必要ないだろうと車に置いてきたショールが恋しい。
矢継ぎ早にポテトをほおばる。
おや?
冷たいポテトが口に入った。
『口まで冷えちゃったのだろうか』
いや、指で確認すると間違いなく凍ったポテトの一群が見つかった。

店を出るとき、差し出がましいとは思ったがポテトの件を伝えた。
他のお客様にも入っていたら、どちらにとっても良くないことだから。
「そうですか。すぐに他のポテトを用意します」そっけなく言った。
「おなかいっぱいですから、結構です。差し出がましいことでごめんなさいね」
言わなければよかったと後悔しながら、車に向かった。
結局、店には10分ほどいただけだった。

もしも、カウンターでエアコンの故障を伝えてくれたのなら
テイクアウトで注文しただろう。
しかし現実は、寒い店内でガタガタ震えながら食べた。
もしも、ポテトが冷たかったことを伝えたとき
お詫びの言葉と、感謝の言葉を言ってもらえたら
気持ちよく店を後にしただろう。
しかし現実は、後味の悪い気分で店を出た。

少しの配慮と気配りを加えることで
お客様をつなげることができる。
少しの配慮と気配りがなかったことで
お客様は簡単に去ってしまう。

「せっかく本を読もうと思ったのに…」
仕方ないので、他のファーストフード店へ向かった。


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