2009年8月17日 (月)

爆発事故の記憶

高校生の夏休みのこと。
お盆休みで部活もなく、朝寝坊したいのだが
「お父さんが仕事に出かける時間まで寝ているべからず」という家訓から、
何もなくても決まった時間には起床するのが、我家では当然だった。

その日は朝から暑かった。
朝の9時半を過ぎ、まだ何をするわけでもなく、何もしたくない私は
寝そべってアイスをかじっていた。
「そんな格好で何しているの」怪訝そうな顔をして母が言った。(言われて当然)
「今から出かけるからね。昼までには戻るから、留守番頼むね」
「は~い」と気のない返事をしながら「どこ行くの?」と尋ねた。
○○デパート。午後から用事があるから、早めに行ってくるね」
「うん」アイスをなめながら鼻先で返事をした。
繁華街は自転車で15分弱で行ける距離にあり、買い物にはとても便利だ。
母がデパートの開店時間に合わせていくのは珍しくない。
しかし10時の開店時に従業員の皆さんからいっせいに挨拶されるのが恥ずかしいと
外で5分くらい待ってから入るのが常だったが。

母が出かけてから15分ほどたったとき”ドン”と響くような音が聞こえた。
あたりを見回したが変わりはないので「何だろう、きっと気のせいだ」と
アイスは食べ終わったが、まだ寝そべりながらぼんやりしていた。
それから、また15分くらい経っただろうか。
電話が鳴った。
私は、ぐずぐずと起き上がり電話に出た。東京の叔母からだった。
「駅の近くで爆発事故があったようだけれど大丈夫?」
「爆発事故」
ニュース速報が出たのよ。テレビ見ていなかった?」
「ちょっと待って」テレビをつける。
慌てた様子の報道スタッフと、煙が充満した生々しい現場が映る。
よく見かける景色、○○デパートの前だった。
「おばちゃん、どうしよう。おかあさんが行っている」
血の気が引いた。
デパート開店の少し前に、真下の地下道で爆発事故が発生したのだった。
近隣の建物のガラスが割れ、怪我をされた方々が映った。
それよりも、地下の様子はわからず、どれくらいの被害があるのかは未知だった。
「大丈夫、落ち着きなさい」叔母の声が遠くに聞こえた。
「どうしよう・・・」わなわなと手が震えた。
そのとき、「ただいま」と耳慣れた声がした。
「そんな顔してどうしたの、誰から電話」
あっけに執られながら、叔母からだと伝えると、母は受話器を取って話し始めた。
「えっ、爆発事故?知らなかった」
知らなかったって、まさに事故現場に出かけるって言ったじゃん。
私は現実が把握できないまま、ただ呆然と電話が終わるのを待った。

事実はこうだ。
母はいつものように、同じ道を自転車で進んだ。
そしてデパート近くの交差点に差し掛かったときに
今日は行くのはよそうと、ためらわずにUターンしたそうだ。
なぜなのかは自分でもわからないが
「この道を渡ってはいけない」と、一歩を踏み出すことができなかったそうだ。
いつもだったら、そこまで出かけていったのに時間が無駄になると思うのだが
今日はそういった気持ちは一切湧かず
自分の行くはずだった場所で起こっていることなど知らずに帰ってきたという。

その後の報道で、
多数の怪我をされた方や亡くなられた方がいらっしゃたことがわかった。

不思議な話だ。
もし道を渡っていたら、母は確実に事故に巻き込まれていたのだから。

数十年前の爆発事故の記憶が、この時期になると蘇る。

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2009年7月 3日 (金)

降水確率30%の憂鬱

うっとおしい雨が続いている。
梅雨だから仕方がないし、別に雨が嫌いなわけではないが
洗濯物のことを考えると憂鬱になる。
つまり、洗濯が好きなので『晴れ』てほしいだけのことなのだ。

朝、必ずチェックするのが天気予報
インターネットのパーソナル天気も必ず見るようにしている。
仕事で日中家を空ける私にとっては重要な作業だ。
注目するのは降水確率
これを自分なりの解釈で新たに予想し、その日の洗濯物の干し方を変えている。
80%を超えるときには、絶対に外へは干さない。
60%を超えると、懸命に我慢と妥協をして家の中へ干す。
しかし午後からの確率が、ぐぐっと減るときは風向きを考慮して外へ干す。
50%の場合は、一か八か外へ干す。これまでは6割強で良い結果となっている。
30%だったら、確実に外へ干す。
だって、雨が降る確率が30%なのだから迷うことはない。
そしてそれ以下は、ためらいもなく外へ干して意気揚々と仕事へ向かう。

先週のことだ。
朝の天気予報で「降水確率午前中30%午後70%」と表示されていた。
普段なら悩むところだが、迷わず外へ干した。
その日は専門学校で1時間目の授業があり、午後から公共機関での予定が入っていた。
専門学校は自宅から近く、公共機関への移動でちょうど自宅近くを通るため
1時間目の授業が終わった後自宅へ寄り、
洗濯を部屋に干し変えてから出かけることが可能だったからだ。
「そんな面倒くさいことしないで朝から部屋へ干せばいいのに」と思われるが、
たとえ数時間でも外へ干すことは大変貴重で
その後の洗濯物の渇き具合が全く違うことを考えると、私にとっては手間ではない。

授業が終了するのが11時、授業中は外の様子はあまり見えない。
職員室へ寄り報告書を記入してから帰ろうとしたとき
丁度入ってきた他の講師の方が
「いや~まいっちゃったよ。土砂降りでびしょびしょだ」
えっ、土砂降りなの?外へ出て唖然とした。
横殴りのバケツをひっくり返したような、最近話題のゲリラ雨だ。
「天機予報と違うじゃん」

自宅へ戻ると、びしゃびしゃの洗濯物。
慌てて脱水を掛け(洗いなおす時間はない)、部屋に干し直してからもう一度出かけた。
「こんなことなら始めから部屋へ干しておけばよかった」
後悔しても遅い。

そもそも降水確率の意味は何だろうか、今更ながら調べてみた。
例えば30%の場合
『同じような天気の場合10回のうち3回は1ミリ以上の雨になる』ということだった。
1ミリ以上とあるのだから、雨が降るかもしれないけれど
その雨が土砂降りか、しとしと雨がという雨の量を意味しているのではない。
最初から、私の自分勝手な解釈の仕方が違っていたわけだ。
私はてっきり、30%くらいの雨というと
土砂降りを100とすると30くらいの少ない量の雨だという意味も含まれている
と勘違いしていたのだ。

これではこれからは、低い降水確率の場合も土砂降りも想定しなくてはならない。
洗濯物を干すか干さないかには、決断力と覚悟が求められる。
結果が悪ければ、降水確率30%でもかなり『憂鬱』な気持ちになりそうだ。

話は変わるが、朝の情報番組を見ていると、
画面上部に各地方の天気予報がテロッブで流れている。
住んでいる場所の予報を見たいのだが、まだ大丈夫だろうと用事を済ませていると
肝心のところを見逃してしまい、大抵次の場所へ変わっている。
それを何度も繰り返し、今度こそはと順番が回ってくるチャンスを待っているのは
私だけ?

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2008年4月23日 (水)

妊婦さんのバッチ

朝の情報番組で『妊婦さんのバッチ』について取り上げられていた。
『妊婦さんバッチ』というのは、その名の通り妊娠している方が付けるものであるが
どういった理由で付けるのか、どういった効果があるのかと興味深く番組を見た。

ひとりの妊婦さんに密着したところ、
電車の中でバッチに気づいた女性の方が席を譲っていた。
その後のインタビューで席を譲った女性が
「私も妊娠していたとき電車を利用していました。
お腹が目立たなかったこともあり、席を譲ってもらったことはありません。」
という話をしていた。
もちろんこの女性は席を替わってもらえなかったことが嫌だったのではなく、
座っている人たちも席を替わりたくなかったわけではない。
ただ、妊娠しているかどうかがわからなかったから起こったことなのだ。
そうだ。遠い昔で忘れていたが私にも同じ経験がある。

私は通勤にバスを利用していた。
それは妊娠初期のつわりがひどく体調が優れないときも同様だ。
私が利用するバス停から乗車する際には、いつも満席の状態で、
それどころか立っているのもやっとの、ぎゅうぎゅう詰めのときもあった。
バスが大きく曲がるたびに、足に力を入れて体のバランスを取るのが辛かった。
そのときばかりは「座りたいなあ」と強く思ったが席を譲ってはもらえない。
そりゃそうだ。
お腹が大きいわけでもなく見るからに健康そうな私が席を譲ってもらえるわけがない。
まして自分から「妊娠していますので席を替わって下さい」なんて言えない。
また、自分が座っているときもだ。
年配の方が目の前に立った。
普通なら席を譲るが、そのときはとても譲れる状態ではなかった。
「若くて健康なのに席を譲らない嫌な奴と思われているだろうな・・」
とひとりで勝手に想像して、後ろめたいような申し訳ないような気持ちだった。
恐らく、この女性も同じような思いをしたことがあるのだろう。
そして「自分も辛かったので、座らせてあげたいと思いました。」
と話を締めくくっていた。
そう、お腹が大きいときは体が大変なのは当然だが、
実は妊娠初期もけっこう辛いものなのだ。

席を譲られた女性(妊婦さん)は感激していた。
「初めて席を譲ってもらった。すごく嬉しかった。」とニコニコ顔で話していた。
このバッチは妊婦さんにとって、大変ありがたいものではないだろうか。

実は、これだけでなく他の種類のバッチもあるそうだ。
 デパートで、定員さんに声をかけられるのが嫌な人用の「声をかけないでバッチ」
 会社の飲み会で、お酒をすすめられたくない人用の「今日は呑めませんバッチ」
う~ん。
商品を見ているときに声をかけられるのが煩わしい・ゆっくり見たい人、
人から勧められると自分から断れない人には好評だというが、
これって、いかがなものだろうか。
明らかに後のふたつは、『妊婦さんバッチ』とは質が違うように思うのだが。

バッチをつけることで、コミュニケーションをとっていると説明している人がいた。
私には、(極端な考えだが)コミュニケーションを拒んでいるように感じられた。
少しさみしい気持ちになった。

まあ、私はどのバッチもいりませんが。

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