2009年6月25日 (木)

交差点のシンデレラ

新しい靴を履く前に必ず「今度は気をつけよう」と思うのだが
いつもどこかにつまづいて、かかとを引っかけてしまう。
特に下ろした初日に、かかとの皮がよれてしまったときには
運が悪いだけでは済まされない、悲しい気持ちになる。

もともとつまづくことが多い。
運動神経が悪いわけではない。
もって生まれたそそっかしさが大きな原因だろう。
そして最近、やけにつまづく。
これは加齢によるもので、気持に体が付いていかないことが要因なのは
間違いない。
気持は一歩先に進んでいるのに
肝心の足が一歩出ていないことに、つまづいてからやっと気付く。
運動会で転んでしまうお父さんの気持がよくわかる。
それとも、軽い幽体離脱が起こっているのだろうか。(そんなわけないだろ)

つまづく状況も変わってきた。
以前は、階段がもう一段あると思ったのに実際はなかったり
逆に平らだと思っていたら段があったというような
完全な勘違いによるものが大半だった。
しかし最近は、平らな場所でもことは起こる。
さらに、つま先もひっかけるようになった。
これはまずい。
完全に、足が上がっていないことを示している。

先日、久々に新しい靴を履いた。
薄いベージュの、ピンヒールまではいかないが比較的かかとが細いパンプスだ。
金額はさほど高価ではないが形が気に入っているので
今回こそは気をつけようと強く思った。
歩く場所にも気を遣う。
排水溝などの金網のところにかかとが入ってしまったら
それこそ一回で皮がべろべろになってしまうので
平らな場所を選んで歩く。
砂利道、ぬかるみ、落ち葉など、しっかり道を見極めて
足が上がっていることを自覚しながら歩く。
靴のためにも、自分のためにも涙ぐましい努力をしないと、ね。

うちへ戻ってからも、しっかりと汚れを落とし
ぼろ布を詰めて形を整えるなど、ケアーにも抜かりがない。
これだけすれば、靴も長く履くことができるというものだ。
どこへもつっかかることなく、ベージュの靴は買ったままの状態を保っていた。
私にとっては奇跡的なことだ。

そして本日、天気も良いのでお気に入りのベージュの靴を履いた。
昼食を買うために外へ出た。
会社ビルの近くの広い交差点の向こう側が、いつも行くコンビニだ。
幸いにも、道路は整備されているので引っかかる場所はない。
交差点を渡った。
道幅が広く交通量も多い場所なので、足早に渡る。
丁度真ん中あたりに差し掛かったとき、次の一歩を踏み出す瞬間に
靴が脱げた。
えっ、どうして?
片足がはだしのまま振り返ると
交差点のど真ん中にある小さなくぼみに、かかとがすぽっとはいった状態で
ベージュのパンプスが道に突き刺さっていた。
なんということでしょう。
青信号が点滅を始めた。
恥ずかしさよりも、もうすぐ信号が赤に変わる恐怖感のほうが強かった私は
裸足のまま戻り、パンプスを引き抜くやいなや
コンビに向って走った。

ふう、間に合った。よかった。
よくはないだろう。
まじまじと靴を確認すると、かかとの皮がはがれていた。
がっかりしながらも、さきほどの光景をもう一度思い返したときに
「私って、交差点のシンデレラ
そう思いながら笑った私は、ポジティブなのか鈍感なのか。
「ただのアホだろ」
誰だそんなこという奴は、出て来~い!
(いや、もとい)
そのようなことをおっしゃる方は、どちら様でいらっしゃいますか。
出ていらっしゃいませ。

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